薬物治療学I #01

情報

  • 心臓・血管系疾患(1)
  • 高血圧
  • 20170410
  • Pharmacotherapy 1

病気と薬物療法 消化器疾患

病気と薬物療法 消化器疾患

目次

  1. 本態性高血圧
  2. 二次性高血圧
  3. 降圧薬概論(薬理学II)

内容

本態性高血圧

高血圧の疫学

  • 高血圧性疾患の継続的治療を受けていると思われる総患者数:約1,011万人
  • 高血圧の推定患者数:約4,300万人

高血圧の基準

収縮期血圧 拡張期血圧
診断室血圧 ≧140 ≧90
家庭血圧 ≧135 ≧85
  • 家庭血圧を優先
  • 自己測定血圧は基準なし
  • 診断室血圧の基準 = 家庭血圧の基準 + 5

治療段階

  1. 生活習慣の修正
  2. 降圧薬治療
  3. 服薬錠数・回数の減少→アドヒアランスの向上

予後影響因子

心血管病の血圧値以外の危険因子

血管病リスク層別化

リスク層\血圧分類 I度高血圧 II度高血圧 III度高血圧
≧140/≧90 ≧160/≧100 ≧180/≧110
リスク第一層 低リスク 中等リスク 高リスク
リスク第二層 中等リスク 高リスク 高リスク
リスク第三層 高リスク 高リスク 高リスク
  • リスク第一層:予後影響因子がない
  • リスク第二層:糖尿病を除く1~2個の危険因子、3項目を満たすMetS(メタボリックシンドローム)のいずれかがある
  • リスク第三層:3個以上の危険因子、4項目を満たすMetS、糖尿病、CKD(慢性腎疾患)、臓器傷害/心血管病 のいずれかがある

高血圧管理計画

  • 低リスク群:3ヶ月以内の指導で140/90以上なら降圧薬治療
  • 中等リスク群:1ヶ月以内の指導で140/90以上なら降圧薬治療
  • 高リスク群:直ちに降圧薬治療

減塩:6g/day未満

降圧目標

診断室血圧
75歳以上 150/90未満
75歳未満、脳血管障害患者、冠動脈疾患患者 140/90未満
糖尿病患者、CKD患者 130/80未満

降圧薬治療(第2段階)

降圧薬 禁忌
Ca拮抗薬 徐脈(非ジヒドロピリジン系)
ARB 妊娠、高K血症
ACE阻害薬 妊娠、血管神経性浮腫、高K血症、血液透析、特定の膜を用いるアフェレーシス
利尿薬 低K血症
β遮断薬 喘息、高度徐脈

※β遮断薬のみ第一選択薬でない(2014年に除外)

治療の進め方

A:ARB、ACE阻害薬(この2つ同士は一般的に併用しない)
C:Ca拮抗薬
D:サイアザイド系利尿薬、サイアザイド類似薬
  1. A, C, Dのいずれか1つ(高齢者は半量から)
  2. A, C, Dのいずれか2つ併用
  3. 3剤併用
  4. 3剤+β遮断薬などの他の降圧薬

高血圧治療のポイント

  • 高齢者:常用量の半量から開始
  • 糖尿病:第一選択薬はARB or ACE阻害薬
  • CKD:
糖尿病 蛋白尿 降圧目標 第一選択薬
130/80 RA系阻害薬
140/90 RA系阻害薬、Ca拮抗薬、利尿薬
130/80 RA系阻害薬
  • 妊婦
    • 妊婦高血圧:20週以降に初めて発症→分娩後12週までに回復
    • 胎盤血流量を損なわない範囲で母体傷害リスクを軽減
    • 母体の生理機能、胎児心拍のモニタリング
    第一選択薬
    20週未満 メチルドパ、ヒドララジン、ラベタロール
    20週以降 メチルドパ、ヒドララジン、ラベタロール、徐放性ニフェジピン

二次性高血圧

原因疾患

  • 二次性高血圧一般:原因疾患の治療が優先
  • 腎血管性高血圧
  • 腎実質性高血圧
  • 原発性アルドステロン症
  • 睡眠時無呼吸症候群

腎血管性高血圧

  • 腎動脈の狭窄 or 閉塞で発症
  • 腎機能が正常でも虚血性腎症をきたす

原発性アルドステロン症

  • 外科的手術で治癒が期待可能
  • 主な原因
    • アルドステロン産生線種(APA)
    • 特発性アルドステロン症(IHA)
  • アルドステロン拮抗薬で高血圧と低K血症を治療

降圧薬概論(薬理学II)

血圧の決定因子

  • 血圧 = 心拍出量 * 末梢血管抵抗
  • 血圧 = β1作用 * α作用
  • 他にも多くの因子が複雑に関与

Ca拮抗薬

  • 降圧薬の中で最も降圧効果が高い
  • ジヒドロピリジン系:血管平滑筋へのCa2+流入を抑制、降圧作用が主体

RA系阻害薬の特徴

  • ACE阻害薬とARBが第一選択薬
  • 直接的レニン阻害薬(DRI)が第二選択薬

ACE阻害薬

  • ブラジキニンの分解阻害により空咳が生じ、誤嚥予防効果あり
  • 単独での降圧効果はARBと同等化やや弱い
  • 禁忌:妊婦、授乳婦
    • カプトプリル
    • エナラプリル
    • リシノプリル
    • アラセプリル
    • イミダプリル

ARB

  • 腎保護効果あり
  • 単独 or 併用でI~III度高血圧治療に用いる
  • 禁忌:妊婦、授乳婦
    • ロサルタン:尿酸低下作用あり
    • カンデサルタン
    • オルメサルタン
    • バルサルタン

直接的レニン阻害薬(DRI)

  • 血中半減期が長い(40H)
  • ACE阻害薬とARBが副作用で使用できないときに適応あり
  • 併用禁忌:イトラコナゾール、シクロスポリン
    • アリスキレン

利尿薬の分類と特徴

ループ

  • 機序:ヘンレ上行脚でのNa+, Cl-の再吸収抑制
  • GFR30以下
  • 低K, Ca血症に注意
    • フロセミド(高血圧に唯一適応)
    • トラセミド
    • アゾセミド
    • ベメタニド

チアジド系

  • 機序:遠位尿細管でのNa+再吸収抑制
  • GFR30以上
  • 低K血症に注意
    • トリクロルメチアジド

β遮断薬の特徴

  • 心拍出量↓、レニン産生↓、中枢交感神経↓などによって降圧
  • 禁忌:気管支喘息、房室ブロック
  • 突然の中止→離脱症候群(狭心症、高血圧発作)
  • 中止は緩やかな減量